平成30年度動物供養祭が執り行われました
平成30年10月20日(土)、本学にて実験動物供養祭が執り行われました。生命科学と医学・薬学研究の発展の為に尊い命を捧げている数多くの実験動物の霊に対し、哀悼と感謝を表す目的で毎年執り行われております。
供養祭では、櫻田 司 副学長からの慰霊の言葉の後、小松 生明 実験動物施設管理運営委員会委員長からの実験動物の報告が行われ、都築 仁子 学長をはじめ実験動物を扱った教職員、学部学生が献花を行いました。
慰霊の言葉
平成30年度、第一薬科大学実験動物供養祭を挙行するにあたり、学長先生をはじめ大学関係者各位がここに集い、本学において教育、研究のために尊い犠牲となった実験動物の御霊の前に謹んで弔意の念をささげます。本年度も実験動物の尊い命の犠牲により、貴重な研究成果が得られ、学術論文や学会で研究成果を公表することができました。さらに卒業研究や学部生の実習においても実験動物が供され、本学の学生教育にも多大な貢献をもたらしました。今日、医療のめざましい進歩、生活環境の改善は、年々人間の寿命を延ばして参りました。新しい治療法の確立、新薬の開発もこのことに大きく寄与しております。しかし、その成果の多くは動物実験に依存したものであり、動物実験の支えなくして今日の進歩はあり得なかったと申し上げても過言ではありません。更に、動物実験による恩恵は、単に医療の世界にとどまらず、食品をはじめ私どもを取り巻く生活環境の解析や人間の行動心理の研究などの分野にまで及んでおります。私どもは、さまざまな動物とのかかわりの上にたって、人類の生存と繁栄があることを深く認識し、動物実験に直接携わる者は、特にこれらの動物に対し、深い思いやりと感謝の念を忘れてはならないと思っております。また、このような動物の貴重な存在に気付かずに生活している人々に対しては、この事実を知っていただくよう努力し、感謝の念を忘れている人々には、反省を促す必要があります。そのことが、実験に関連して生命を失った動物に対する謝恩の志を捧げるばかりでなく、生存中の動物に対する道義的・倫理的な扱いにつながるものと確信いたします。今後、動物実験を行うにあっては、その実験が必要不可欠なものであるかどうかを慎重に検討し、安易な態度で動物実験に臨むことを戒めなければなりません。一方、動物に苦痛を与えない非侵襲的実験や培養細胞を用いるなど、最近では直接動物個体を用いない研究手法が取り入れられております。それでも薬の臨床応用を考えますと、命ある動物個体を用いての検証を避けて通ることができないのが現状です。やむを得ず動物実験を行う際には、無駄な動物使用数の削減、代替法の利用に基づいた適正な実験計画の立案、動物の健康管理、ストレスや苦痛の軽減の実施になお一層努め、実験に関わる全ての者が命を大切に思い、研究に真摯に取り組み、社会に貢献できる研究成果を余すことなく発信し、医療の発展ために還元できますよう努力をしてまいります。これらが犠牲となった実験動物に報いるための我々の使命であると考えます。最後に、本供養祭にあたりまして、本学における教育・研究のため、この世を去った数多くの動物に対し、心より謹んで感謝と敬意の念を捧げ、慰霊の言葉といたします。
平成30年10月20日
第一薬科大学 副学長
櫻田 司