有竹 浩介教授(薬品作用学)のタンパク質結晶化実験が国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟でスタートしました
本学 有竹浩介教授(薬品作用学)は、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が募集していた「高品質
タンパク質結晶生成実験(JAXA PCG)」プロジェクトに研究課題が採択され、この度国際宇宙ステーション
(ISS)・「きぼう」日本実験棟でのタンパク質結晶化実験「低温高品質タンパク質結晶生成実験(LTPCG)」が
スタートしました。
関連リンク: タンパク質の4℃結晶化実験(LTPCG#3)を開始しました
研究課題
「PGD合成酵素の超高分解能構造解析に基づくオーファンドラッグの開発」
ISSでのタンパク質結晶化の意義
我々のからだは、数多くのタンパク質が絶妙なバランスを保ちながら機能することで正常な状態(健康)が
維持されています。このタンパク質が正常に働かなくなると病気になります。このようにからだの中で重要
な働きをしているタンパク質は数十個から数千個のアミノ酸が連なって、立体的に規則正しく折りたたまれ
て機能します。
タンパク質を結晶化すると原子レベルで立体構造を明らかにすることができますが、微小重力環境で結晶
化すると、地上に比べて高品質なタンパク質の結晶を作ることができます。
国際宇宙ステーション(ISS)・「きぼう」日本実験棟には、この微小重力環境で結晶を作る実験が行われ
ています。
研究目的
プロスタグランジンD2(PGD2)という物質がからだの中で大量に作られると炎症やアレルギー反応が
悪化します。このPGD2を作る働きを持つタンパク質 (PGD合成酵素)を結晶化して、その立体構造を原子
レベルで明らかにして、炎症やアレルギーの悪化メカニズムを解明しています。
研究の概要
大学の研究室でPGD合成酵素タンパク質を精製し、アメリカやロシアのロケットを利用して国際宇宙
ステーション(ISS)にタンパク質を輸送します。ISSで作られた高品質な結晶が地上に帰還するとX線
回折実験という方法で、原子レベルの立体構造を明らかにします。
期待できる実験成果など
PGD合成酵素の立体構造が原子レベルで明らかになれば、炎症やアレルギーを悪化させる物質が
どのようにして作られるのかが判明します。その成果は、病気の発症メカニズムの解明、治療薬や
治療法の開発に結びつきます。