
「新しいことをしているので教科書はありません」。第一薬科大学で9日、新入生を対象にした講義が始まり、このうち薬学部薬科学科の学生が受けた「薬学データサイエンスへの招待」で、有馬英俊教授はそう断言しました。
2022年に開設した薬科学科の知名度はまだまだですが、潜在性を秘めた本学期待の学科です。データサイエンティストへの社会の需要は高いそうで、薬科学科の講義は薬学にデータサイエンスを取り入れた内容。そのうちこの講義では今後、有名大学や大手製薬会社、大手IT企業などの講師陣らが対面やオンラインで講義し、学生らは医療や薬学にAIを導入した「いま、そして未来」について学びます。
初回は主に次のような内容が語られました。
▽政府が提唱する仮想空間と現実空間を融合させた未来社会のコンセプト「ソサイエティ5.0」の紹介。「マイナ保険証」など、デジタル技術を活用して医療サービスの効率化や質の向上を図る取り組みである「医療D X」もその一部。
▽1950年代に始まった第一次から第三次、そして現在に至る「AIブーム」。昨年のノーベル賞は、物理学賞や化学賞のいずれもAIの研究者らが受賞した「AI祭り」だった。
▽コストと時間がかかりすぎる創薬はAIの導入で効率化できる。
▽発達障害のひとつである「ADHD」の治療を目指したゲームなど「治療アプリ」が次々に誕生している。
「こんなふうに世の中が進んでおり、医療や創薬に新しい技術が入ってきている」と有馬教授。そのうえで「薬学に加えて化粧品やデータの知識を学べば、まさに“鬼に金棒”。すごい人材になれます。もう偏差値など既存の評価基準は関係ありません」と、学生らを励ましました。
最後には有馬教授がご自身のネットワークを駆使して依頼した講師陣を紹介。「私も聴きたいので…」と、これからは各界の関係者らに委ねて聴講側にまわるそうです。終了後、学生のひとりが「面白そう!」と感動した様子で声を出すと、有馬教授は即座にこう応じました。
「面白いよー。他ではやっていないことを第一薬科大学ではやっているんだから」。