
第一薬科大学の薬学部は化粧品についても学ぶことができる点が特色のひとつ。7日には今年度初めて本学独自の科目である「化粧品学Ⅰ」の講義が行われました。西日本で唯一、漢方薬学科がある本学らしく、美容に漢方を交えた内容でした。今後は皮膚の構造や機能、化粧品と美容法などを学びます。
「化粧品学Ⅰ」は薬学科や薬科学科の4年を対象にした科目。美容と漢方に関する基礎知識を学ぶほか、スキンケア化粧品の対象である角層などの生理機能や化粧品の製剤技術、界面科学などといった物理化学的視点に至るまで、化粧品開発に必要な総合的知識の習得を目的としています。
初回となる今回は、西洋医学と漢方を統合した「和漢診療学」の創始者である寺澤捷年(てらさわ・かつとし)医師に師事し、現在は漢方専門薬局「大丸薬局」(横浜市)の取締役である管理薬剤師の大野賢二さんを招き、講義をしていただきました。
大野さんは「美容と漢方のポイント」として、自分の肌質・体質を知ることが大切▽漢方薬は「証(体質)」に合わせて選択する▽肌トラブルの改善には胃腸機能や食事にも注目-と説明。さらに生活習慣や内臓機能の「内面」、ストレス対策や睡眠の「精神面」、スキンケアや外科処置の「外面」が「三面美容」であると指摘し、「精神面は後回しにされやすいが、睡眠は大事」と話しました。
また、甘草(カンゾウ)や芍薬(シャクヤク)など、化粧品に含まれる代表的な生薬を10種類紹介。ドライ度やオイリー度を確かめる肌質の診断テストをはじめ、肌のつっぱりや荒れ、化粧品をつけたあとで肌が赤くなるなど、敏感肌についてもチェックしました。
その後、漢方医学について「中国で発達し、日本で伝えられたのち、独自の発展をした医学」だと説明。バランスが崩れると体調不良や病気の原因になる「陰陽」という理論では、温めると症状が軽減する「陰」と、冷やすと症状が軽減する「陽」に体質を分けて考え、その間の「中庸」にしてバランスを保つことを伝えていました。
学生らはノートを取ったり、スクリーンに映し出された画像をスマートフォンで撮影したりして、興味深そうに聴いていました。