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【一薬の魅力②《西日本唯一の漢方薬学科》】漢方薬は味も考えて組み合わされた?「葛根湯」などを調剤しました

 

 第一薬科大学(通称「一薬」)は西日本唯一の「漢方薬学科」がある大学です。今回は2月10日(月)に行われた調剤実習についてご紹介します。調剤したのは、風邪の初期症状に効果的な漢方薬としておなじみの「葛根湯」(かっこんとう)など2種類。漢方薬は味も考えて組み合わされたのではないか?という説もあるそうで、学生たちは興味深そうに話を聞いていました。

 薬学部5年生の選択科目「伝統医療薬学実習」の一環。調剤した結果を、顆粒タイプの「漢方エキス製剤」と比較して漢方エキス製剤の簡便さや服用のしやすさを体感し、その有用性を理解してもらうことが目的だそうです。

 実習名は「漢方処方(湯剤、ゼリー剤)の調剤」。指導にあたっている久保山友晴・准教授が最初に示したのが、不眠症などの際に使われる「黄連解毒湯」(おうれんげどくとう)です。

 学生たちは、4種の生薬で作る一般的な黄連解毒湯と、そのうち生薬「オウゴン」を除いた湯剤(とうざい)を作りました。1種入れないだけで味がどう違うのかを知ってもらうためです。50分ぐらい、ぐつぐつと煮出しします。その間、久保山准教授は使用した生薬について説明。学生たちは生薬の欠片(かけら)をひとつひとつ食べ比べてみましたが、渋そうな表情。その後、煮出しした2種類の湯剤を飲み比べました。「うわっ」。思わず声をあげた学生もいたほど、飲みづらい湯剤らしく、かなりの味みたいです。ただ、一般的な黄連解毒湯の方がいくぶんマシなもよう。ゼラチンなどを使ってゼリー剤も作りました。

 さらに顆粒タイプの黄連解毒湯を使って、チョコレートやプリン、炭酸飲料などを混ぜて比べてみました。学生たちの間ではチョコやコンソメスープが人気。「コンソメスープと思わなければ、『こんなスープもあるのかな』となる」。反対にコーンスープは不評で、「甘いのに苦い。せっかくのコーンの味が台無し」などと感想を話していました。

 久保山准教授は「いま学会では『漢方薬は薬効だけでなく、味のことも考えて組み合わせられたのではないか?』という説まで出ています。薬剤師になった将来、今日学んだことも役立ててください」と話していました。

 続いて「葛根湯」です。こちらも湯剤を作るため、生薬「カッコン」や「ケイヒ」など7種の生薬をお茶用のパックに入れて煮出しします。シナモンの一種であるケイヒの香りがだんだんと実習室内に広がってきました。そんな中、久保山准教授は生薬のほか、薬剤師の国家試験で出題される傾向も随所で説明。風邪の初期症状によく使われる葛根湯ですが、風邪薬についてこうも指摘しました。

「漢方的に考えると、『風邪薬を飲んで今日は頑張ろう』というのは間違い。『薬を飲んだら早く寝る』ことです」

 葛根湯も味わいましたが、黄連解毒湯の方を最初に飲んだせいか、学生たちは飲みやすい様子。葛根湯には生薬「カンゾウ」なども入っていますが、こちらも味のことを考えたのかもしれませんね。

 漢方の世界は実に奥深いです。あなたも「一薬」で学んでみませんか?